病理-キーワード

虚血

局所に流入する動脈血が減少した状態である。原因には「動脈の狭窄、動脈の閉塞」がある。

動脈の狭窄

器質的狭窄:動脈の粥状硬化症

機能的な狭窄:動脈の攣縮

動脈の閉塞:血栓、塞栓、虚血による組織の変化。組織は虚血により低酸素状態となり細胞は障害され変性,壊死が起こる。強い虚血が数十分続くと細胞は壊死に陥り、虚血が一過性であれば細胞組織の障害は一過性である。長期の持続は細胞や組織の萎縮や線維化が起こる。

 

出血

赤血球を含めた血液の全成分が血管外に出ることをいう。(血液の全成分が血管系の外にでること)

 

出血の分類「破綻性出血・漏出性出血」

破綻性出血

通常の出血で血管壁が損傷し血液が大量に血管外にでる。原因には外傷,潰瘍性病変による血管の破綻,血管壁の炎症や変性が原因である

漏出性出血

血管壁に明らかな構造的変化が見られないが、毛細血管レベルで血管内皮細胞間を通って赤血球が血液外に出る。原因には出血傾向がある場合や高度のうっ血が持続している場合に起こる。症状としては皮膚の点状出血,斑状出血としてみとめられる。

 

塞栓

血管内を遊離物が流れて遊離物より細かい径の血管を閉塞した場合を塞栓症といい、閉塞したものを塞栓子という。塞栓子としては遊離した血栓であることが最も多く、閉塞症の大部分を占める。

 

浮腫

組織液、すなわち細胞外・血管外液が増加することである。

皮下浮腫

一般にむくみと呼ばれ、顔面,眼瞼,下腿で浮腫の存在が分かる。

 

全身の浮腫

組織中のみならず、胸腔(胸水),腹腔(腹水),心嚢腔(心嚢液)にも液体が貯留する。まとめて腔水症と総称される。

 

浮腫の液はその蛋白の含量により、次の2種類に分けられる。

漏出液→非炎症性の浮腫液であり、蛋白量は少ない。

滲出液→炎症性の浮腫液で血管の透過性亢進のために蛋白を多く含む。

 

萎縮

正常に発達していた臓器(組織)の容積が障害のため小さくなったものをいう。

 

生理的萎縮

加齢とともに必ず起こってくる萎縮で、臓器により萎縮する時期は異なる。

 

廃用萎縮

ギプス固定により長期間固定されていた骨格筋や歯が脱落した後の歯槽突起など、機能が抑制されたり、使用されなくなった臓器や組織は萎縮する。

圧迫萎縮

水頭症や水腎症でみられる。実質の萎縮は長期間組織が圧迫されたために起こる萎縮で、実質は紙のように薄くなることもある。血液供給不足が主な原因である。

※水頭症:脳脊髄液が脳室内に貯留。頭蓋が肥大する。

※水腎症:腎盂,腎杯が拡張し、その結果、実質の萎縮をきたした状態。尿通過障害が原因

その他の萎縮には「飢餓萎縮,内分泌性萎縮,神経性萎縮」などがある。

 

空胞変性

細胞内に大小の空胞がみられる。原因は細胞が酸素不足になると、ミトコンドリア,小胞体の膨化が起こり、水分が貯留してくると細胞内に大小の空胞がみえてくる。この状態を空胞変性(水腫性変性)と呼ぶ。

疾患との関係→「中毒の時の実質細胞,放射線照射されたがん細胞の細胞内」に認められる。

粘液変性

粘液は粘稠で透明な液性物質で、主成分はムチンと呼ばれる一種の糖蛋白である。異常な粘液産生の増加を粘液変性という。

 

上皮性粘液変性:カタル性炎(組織の破壊を起こさない粘膜浸出性の炎症),カタル性気管支炎,鼻炎,粘液癌

 

結合組織性粘液変性:甲状腺機能低下症の際、全身の結合組織に粘液貯留がみられる

硝子変性

硝子(物)質は均質透明な光沢をもつ無構造な物質の総称である。これは単一の物質では無い。この硝子質が細胞と細胞の間に蓄積した状態が硝子変性である。

関連疾患→「慢性腎炎」にみられる。

類線維素変性

線維素を含んだ血漿成分が血管壁に沈着し、これに膠原線維が加わった病変である。

関連疾患→「悪性高血圧症の時、小動脈壁」にみられる。

アミロイド変性

アミロイドと呼ばれる線維蛋白が細胞間に沈着したものでアミロイドは正常組織には認められない。アミロイドが沈着して起こるアミロイドシスは次の様に分類される。

 

全身性

続発性アミロイドシス:関節リウマチ,結核に続発

原発性アミロイドシス:原因不明のもの

遺伝性アミロイドシス:家族性のもの

 

限局性

アミロイド沈着が皮膚,肺など一つの臓器に限局

 

関連疾患→「多発性骨髄腫(形質細胞腫ともいわれる)」

脂肪変性 

脂肪がもともと生理的に存在する部位で異常な増加を示し生理的には存在しない部位に出現すること。脂肪変性を起こした組織は黄色調を示す。過剰カロリー摂取による場合は中性脂肪として皮下に蓄えられる。

凝固壊死

壊死→生体内で起こった組織の部分的な死のこと。

  

凝固壊死→組織の主成分である蛋白が凝固することである。典型例では、心、腎にみられる。栄養動脈が閉塞して起こる梗塞でみられる。

再生

ある組織の欠損が起こった場合、その部分が同種の細胞で補われる現象のこと。生理的再生、病的再生、過剰再生にわけられる。

化性

いったん分化を完了した高等動物の各細胞・組織は原則として全く異なった細胞・組織を新生することはない。しかし、ある分化した組織が別の方向に分化した組織に変わることがありこの現象のことをいう。

  

分化

単純で同質のものからしだいに複雑で異質なものに分かれていくこと、すなわち未熟な細胞が機能を獲得しながら形態的にも変化していくことである。

創傷治癒

創傷治癒の過程

①出血・凝固期:出血して血餅ができ、血小板からサイトカインが放出される。

②炎症期:炎症反応により、浸出液と好中球や単球(マクロファージに変化)、線維芽細胞の各種細胞が出てくる。

③増殖期:ギャップを埋める組織(肉芽組織とそれが硬化した瘢痕組織)ができる。

④改変期:ギャップを新しい組織で埋めた後のあと始末。過剰な血管や線維芽細胞が減少する。

一次治癒(一期癒合)

縫合やテーピングにより、創縁を寄せてギャップを最小限にした状態での治癒。短期間に治癒。生じる瘢痕も少ない。

  

二次治癒(二期癒合)

創縁が離開した状態での治癒。治癒期間が長い。生じる瘢痕も多い。

自己免疫疾患

 ①臓器特異性

橋本病(慢性甲状腺炎)、バセドウ病、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、重症筋無力症、自己免疫性萎縮性胃炎、特発性Addison病、交感性眼炎、インスリン依存型糖尿病、グッドパスチャー症候群、多発性硬化症、尋常性天泡瘡

 

②主に一臓器に起こる

原発性胆汁性肝硬変、潰瘍性大腸炎、シェーグレン症候群、ルポイド肝炎、皮膚筋炎、多発性筋炎

 

③多くの臓器で起こる

関節リウマチ、全身性強皮症、全身性硬化症、混合性結合組織病、全身性エリテマトーデス(SLE)

アレルギーⅠ型

アナフィラキシー型、即時型ともいう。気管支喘息、花粉症(アレルギー性鼻炎)、蕁麻疹、アナフィラキシーショック、アトピー性皮膚炎、アレルギー性肺臓炎、薬剤アレルギー、食品アレルギーなどがある。

アレルギーⅡ型

細胞障害型、細胞融解型ともいう。アレルギー反応は、血液型不適合輸血、自己免疫性溶血性貧血、橋本病(慢性甲状腺炎)、グッドパスチャー症候群、薬剤アレルギー、血小板減少性紫斑病、胎児赤芽球症などがある。

アレルギーⅢ型

免疫複合体型、アルサス型ともいう。Ⅲ型には、アルサス反応型と血清病型の2タイプがある。アルサス反応、急性糸球体腎炎、血清病、血管炎などがある。

アレルギーⅣ型

遅延型、ツベルクリン型ともいう。ツベルクリン反応、肉芽腫形成疾患(結核、ハンセン病、サルコドーシス)、真菌、ウイルス感染症、移植免疫反応、接触性皮膚炎、腫瘍免疫などがある。

アレルギーⅤ型

刺激型、機能亢進型反応ともいう。代表疾患はバセドウ病である。

黄疸

血中のビリルビンが増加し、皮膚、粘膜、その他の組織が黄染した状態。

炎症

生体に加わるいろいろな刺激・侵襲に対する生体の局所的な一連の反応である。「発赤、腫脹、発熱、疼痛」を四大主徴といい、これらに臓器の機能障害を加えて五徴ともいう。炎症部位は血管が拡張し、皮膚温が高い。

腫瘍

上皮性腫瘍、非上皮性腫瘍、混合腫瘍に分類される。一方、生物学的性質から、良性腫瘍と悪性腫瘍に分けられる。一般に、悪性上皮性腫瘍を癌腫、悪性非上皮性腫瘍を肉腫と呼ぶ。

 

組織学的形態は腫瘍実質、異型、腫瘍間質がある。腫瘍の発育は膨張性発育(限局性発育)と浸潤性発育がある。悪性腫瘍は、周囲組織や他の部位に転移、再発する。

肥大と過形成

肥大

組織または臓器がそれを構成する細胞の増大により容積を増すこと。原因は、作業肥大、代償肥大、ホルモン肥大、突発性肥大がある。ホルモン肥大には成長ホルモン過剰分泌による巨人症や末端肥大症(成人では手、足、顔面などの先端部分が不均衡に肥大する末端肥大症となる)があげられる。

 

過形成

正常と同じ大きさの細胞の数の増加により、組織または臓器の全容積を増すもの。慢性炎症、内分泌異常、反復する機械的刺激などに対する反応として起こる。

感染症

①ウイルス感染症:ウイルス肝炎、インフルエンザ、麻疹、風疹、日本脳炎、流行性耳下腺炎、水痘、伝染性単核球症、成人T細胞白血病、帯状ヘルペス、風邪症候群、咽頭結膜熱、手足口病

  

②真菌症:カンジダ症、アスペルギルス症、クリプトコッカス

  

③原虫性疾患:アメーバ赤痢、マラリア、ニューモシスチス・カリニ感染症

  

④寄生虫疾患:アニサキス症

  

⑤細菌感染症:腸チフス・パラチフス、細菌性赤痢、コレラ、食中毒、ジフテリア、レジオネラ症、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症(MRSA感染症)、急性咽頭炎、リウマチ熱、しょう紅熱、ショックシンドローム、膀胱炎、腎盂腎炎、敗血症、ツツガムシ病、Q熱

 

⑥抗酸菌感染症:結核、非定型抗酸菌症、ハンセン病

【参考文献】

著: 岩田隆子「わかりやすい病理学」

著: 伊東進森博愛 「メディカルスタッフのための内科学」

監: 廣瀬肇「言語聴覚士テキスト 第2版」,2012年

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