​呼吸器系-キーワード

呼吸器系の構造

上気道:鼻腔、咽頭(上咽頭:咽頭扁桃、耳管/中咽頭:口蓋扁桃、舌扁桃/下咽頭)、喉頭

下気道:気管(第6頸椎~第5胸椎の高さ、馬蹄形の軟骨、後壁は軟骨がなく平滑筋よりなる)、気管支

肺:右肺は3葉、左肺は2葉、肺胞で酸素と二酸化炭素のガス交換

 

副鼻腔

鼻腔を囲む骨の中にある空洞で鼻腔に連絡している。前頭洞、蝶形骨洞、篩骨洞、上顎洞。頭部の重さを軽くしようという自然の恩恵とも言われ、鼻腔内の温度、湿度調節、声の調子や音声の共鳴にも関与。

 

胸郭

前方:胸骨(1個)、後方:(胸椎12個)、側面:肋骨(12対)、底部:横隔膜〈随意筋〉

胸骨と肋骨は肋軟骨で連結、第11,12肋骨の前方端は遊離、胸骨と肋骨は関節で連結。

 

横隔膜の運動

吸気には外肋間筋と共に横隔膜が収縮することで、横隔膜は腹腔の側(下側)に押し下げられるので、胸腔を広げ、腹腔を狭める。特に腹式呼吸では横隔膜が大きな役割を果たす。

 

呼気筋と吸気筋

呼気筋:内肋間筋、内外腹斜筋、腹直筋、腹横筋

吸気筋:横隔膜、外肋間筋、大胸筋、小胸筋、斜角筋、胸鎖乳突筋

 

内呼吸と外呼吸

内呼吸=「組織呼吸」各種臓器の組織細胞で行われるガス交換で血液が運んできた酸素を取り入れ組織で生じた二酸化炭素を排出する。

外呼吸=「肺呼吸」肺胞で行われるガス交換。外界から酸素を取り入れ二酸化炭素を排出。この肺呼吸を行うのが呼吸器系である。

 

安静呼吸と深呼吸

安静呼吸:「正常呼吸」吸気は横隔膜の収縮によって行われ、また外肋間筋も使用される(内肋間筋前部)。呼気は肺、胸郭の弾性(元に戻ろうとする力)のみで呼気筋は使われない。

深呼吸:「強制呼吸」「努力呼吸」胸郭に付随する広範囲の筋が働く。

 

呼吸中枢

延髄(脳幹)

 

呼吸の神経調節

①行動性調節〈随意〉:大脳皮質・・随意的に速さや深さを変える。

②化学的調節〈不随意〉:末梢の化学受容体・・O2が減少すると呼吸を速めてO2の取り込みを増やしO2を放出する。

③神経性調節〈不随意〉:肺胞の伸展受容体・・『ヘーリングブロイヤー反射(肺迷走神経呼吸反射)』伸展受容体が肺の膨張を感知すると迷走神経を介して吸気を抑制している。

 

呼吸の化学的調節

高度O2低下(呼吸不全)時:血中O2が↓、CO2が↑⇒頸動脈小体と大動脈小体にある感知器から情報が送られ呼吸を速めてO2の取り込みを増やしCO2を放出する。(末梢化学受容体)

正常時:呼吸中枢にも中枢性化学受容体があり血中CO2が増えると呼吸が促進。(中枢化学受容野)。日常的には中枢化学受容野が働いている。

 

肺容積と容量

1回換気量TV:正常呼吸での吸気と呼気の容積差で訳500mℓ(=4秒に1回)

 

予備吸気量IRV:正常1回換気量を超えて吸気可能な最大空気量で通常約3000mℓ

 

予備呼気量ERV:正常換気量を呼出した後に強制呼気可能な空気量で通常約1100mℓ

 

残気量RV:最大強制呼気の後に肺内に残っている空気量で平均約1300~1500mℓ

 

最大吸気量IC(約3500mℓ)1回換気量+予備吸気量。正常な安静呼気レベルから呼吸を始め、肺を最大に膨らませるのに必要な容量(=吸える範囲)

 

機能的残気量FRC(約2300mℓ):予備呼気量+残気量。正常の呼気終了時に肺に残っている空気量。

 

肺活量VC:1回換気量+予備吸気+予備呼気。最大吸気位からゆっくりと可能な限り吐き切った最大呼気位までの呼気量。正常成人の実

 

測肺活量㊚3200~4500mℓ㊛2300~3200mℓであるがその結果は性別、身長などによって決められた予測肺活量に対する比率(%VC)によって判断される。

 

全肺気量TLC(約5800mℓ):肺活量+残気量。最大可能な吸気によって拡張可能な肺の容積。

 

呼吸気流率

正常発声で使用する1秒当たりの呼気量:100~200ml

 

最長発声持続時間(MPT)

最大吸気後に持続しうる発声持続3回連続の最大値:㊚約30秒㊛約20秒【日常会話の明瞭度を保つためには約10秒必要】10秒が正常範囲

肺機能検査(呼吸数、換気量、肺活量、%肺活量、1秒率)

呼吸数:15回/分(約7.5ℓ/分)⇒0.5ℓ×15回(4秒に1回)

24回以上:頻呼吸、12回以下:除呼吸

換気量:「毎分肺胞換気量」=(1回換気量500mℓ-死腔量150mℓ)×呼吸数15回⇒5250mℓ・・・ガス交換の量

 

肺活量:㊚3200~4500mℓ㊛2300~3200mℓ

 

%肺活量:実測肺活量が予測(標準)肺活量の何%にあたるか。

(%VC=実測肺活量÷予測肺活量×100(%)・・肺活量が正常範囲かどうかわかる。80%以上正常。80%以下は拘束性換気能障害があると考える。

 

1秒率:最大吸気を思い切り早く吐き出したとき1秒間に吐出される量を1秒量という(肺活量の70~80%が呼出)。この1秒量を肺活量で割ったもの。

1秒率=1秒量÷肺活量×100(%)・・70%以下を異常。閉塞性換気能障害があると考えられる。

呼吸器系の異物除去機構(気道の7つの関門)

(気道の7つの関門)鼻腔内:①鼻毛②鼻腔内の粘膜・線毛③くしゃみ反射、咽頭内:④Waldeyer咽頭論、気管支:⑤気管支の粘膜・線毛⑥咳嗽反射、肺胞内:⑦肺胞マクロファージ

喉頭を構成している軟骨

 輪状軟骨、甲状軟骨、披裂軟骨、喉頭蓋軟骨、楔状軟骨、小角軟骨から構成されている。

外喉頭筋

外喉頭筋は、喉頭周辺部に存在し、喉頭の位置変化、運動、支持などに関与する筋の総称である。舌骨上筋群、舌骨下筋群、咽頭収縮筋群を含むもの。

舌骨上筋群:喉頭を挙上する。

・顎二腹筋

・茎突舌骨筋

・顎舌骨筋

・オトガイ舌骨筋

 

舌骨下筋群:喉頭を引き下げる。

・胸骨舌骨筋

・肩甲舌骨筋

・胸骨甲状筋

・甲状舌骨筋

咽頭収縮筋:嚥下運動に関与し、喉頭を挙上する。

・上咽頭収縮筋

・中咽頭収縮筋

・下咽頭収縮筋→「甲状咽頭筋・輪状咽頭筋」に分けられる。

内喉頭筋

内喉頭筋は喉頭内にあり、絞扼、開大、関節の回転、声帯の物性変化など発声に関与するさまざまな運動を実現する。輪状甲状筋、甲状披裂筋、外側輪状披裂筋、後輪状披裂筋、披裂筋の5つから構成されている。

輪状甲状筋   → 前筋 → 上喉頭神経外枝

甲状披裂筋   → 内筋 → 下喉頭神経(両側反回神経)

外側輪状披裂筋 → 側筋 → 下喉頭神経(反回神経)

披裂筋     → 横筋 → 下喉頭神経(反回神経)

後輪状披裂筋  → 後筋 → 下喉頭神経(反回神経)

声門閉鎖筋と声門開大筋

声門閉鎖筋:甲状披裂筋、外側輪状披裂筋、披裂筋

声門開大筋:後輪状披裂筋

声帯の筋張を加減する筋

輪状甲状筋

声帯の構造

声帯は層構造を呈しており、表面から粘膜上皮、粘膜固有層、声帯筋に分けられる。

喉頭の年齢変化

喉頭の枠組みは年齢によって変化する。特に思春期男子は声帯長の増加が変声を惹起する。女子でも軽い変声はあり、声域が上下ともに拡大し声質変化を伴う。喉頭の老化現象として、喉頭の下降、声帯粘膜萎縮、浮腫、喉頭筋委縮などがある。加齢により女性では声域、話声位が低下し、男性では話声位が上昇し男女の声の高さの差が減少する傾

向にある。

喉頭の機能の多面性

呼気調節、発声における喉頭調節、構音などの機能がある。

発話生成の過程

呼吸器によって作り出される空気力学的エネルギーを、喉頭で音響エネルギーに変化し、発声により、喉頭で声帯振動などにより作られた喉頭音源は音波として声道を伝播し反射し、吸収され、口唇から外気に放射され、空気中を音波として伝播する。

声帯振動(の1周期)

声帯振動を4期にわけて説明されている。

 

声門閉鎖期:声門が閉鎖している時期で声門下圧によって声帯が上方へ押し上げられる。

声門開大期:さらに増加する声門下圧によって声帯が左右に開く。

最大開大期:声帯の上部はさらに外へ向かって移動する。

 

声門閉小期:早い気流によって圧力が低下し(ベルヌーイ効果)、声帯の下方の内壁が内方 に向かって吸い寄せられる。内包への吸引が急速に起こり、両側声帯が正中で接触する。

 

ベルヌーイ効果

閉鎖した声門に対して呼気流から生じる声門下圧の上昇により外方へ押し広げようとする力と声帯の弾性による復元力と、流体が高速で通過すると流れに直交する方向に陰圧が生じる

正常発声のための必要条件

・呼気流が上行すること

・声門が適度の力で閉鎖し、声帯に適度に濡れていること

・声帯縁が柔らかく、粘弾性があること

・声帯縁が適度に濡れていること

・左右の声帯縁の形が対称で質量が均等である

声の4要素

高さ、大きさ、長さ、音色の4つの特性で特徴づけられる。

音声障害の症状

声の病的変化は発声器官のどこかに器質的あるいは機能的障害が起こることに起因する

 

高さの障害

男性では変声期に見られる音声障害があり、女性ではタンパク同化ホルモンによっておこる男性化音声(ホルモン性音声障害)などがある。

 

強さ(大きさ)の障害

声帯麻痺や肺疾患のため呼吸機能が低下して発声時に十分な声門下圧が得られず、弱い声しか出せない場合がある。また声門が発声時に間隙があると呼気の乱費のために声が弱くなる。

 

音質(音色)の障害

1-嗄声

音声障害の中で最も多くみられる症状で粗造性、気息性、無力性、努力性に分けられる。

     

2-失声

嗄声が高度になると失声となり、何らかの原因で声帯が振動しなくなる状態。

 

持続の異常

声門閉鎖不全の場合、もしくは閉鎖が強すぎて痙攣するとみられる。長く発声できない状態をいう。

音声障害の分類と疾患

器質性音声障害:声帯ポリープ、声帯結節、声帯嚢胞、喉頭肉芽種、声帯炎、声帯萎縮、声帯溝症など

 

神経学的音声障害:痙攣性発声障害、本態性音声振戦症、喉頭麻痺など

   

機能性音声障害:ホルモン音声障害、音声衰弱症、変声障害など

喉頭の検査

生理的検査「間接喉頭鏡検査・喉頭内視鏡検査・ストロボスコピー」

 

聴覚的印象に基づく検査「GRBAS尺度」

 

音響分析による検査「サウンドスペクトログラム」

 

発声能力と機能の検査「最長発声持続時間・発声時平均呼気流率・声門下圧」

 

特殊な検査「筋電図・CT・MRI・超音波断層」

【参考文献】

​学生時代に配布されたプリント

監: 廣瀬肇「言語聴覚士テキスト 第2版」,2012年

© 2023 のあ不動産。Wix.comを使って作成されました

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