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​解剖・生理-キーワード

細胞

細胞は生命現象を営む最小の機能単位であり、人体には約60兆個ある。代表的な細胞の機能は以下の通りである。

 

中心体       →  細胞分裂時の染色体の移動

リボソーム     →  蛋白合成

ミトコンドリア   →  細胞に必要なATPの95%を産生

小胞体       →  分泌物の合成、細胞内貯蔵と輸送

粗面小胞体     →  分泌蛋白の合成

滑面小胞体     →  脂質と炭水化物の合成

ゴルジ装置     →  分泌物とリソソームの貯蔵・加工・包装

リソソーム     →  損傷した小器官や病原体を細胞内から除去

ペルオキシソーム  →  毒性化合物の無毒化

核小体       →  RNA合成の場でリボソームの亜粒子を作る

組織

人体は何兆もの細胞からなるが、細胞の種類はわずか200ほどしかない。同じ働きをする細胞が組み合わさって組織を構成する。組織は、上皮組織・結合(支持)組織・筋組織・神経組織の4つがある。

上皮組織

直接、外界に面している表皮や、体内にある口腔、気管、消化管などの表面の細胞層をひとまとめにして、上皮組織と呼ぶ。血管は通っていない。上皮組織の種類は単層上皮と重層上皮とに分けられ、以下の通りである。

単層上皮

単層扁平上皮(血管内皮や体腔上皮)

単層立方上皮(腎臓の尿細管上皮)

単層円柱上皮(胃・腸の粘膜上皮)

多列線毛円柱上皮(気道粘膜上皮)

重層上皮

移行上皮(膀胱粘膜上皮)

重層扁平上皮(食道・肛門管)

結合組織

結合組織は人体の至るところに見出されるが、体外に露出することはない。結合組織は単に体の部品を結合させるばかりでなく、以下のような多様な機能がある。

 

・人体の構造の枠組みの構築

・体液および体液中に溶けた物質の体内運搬

・脆弱な器官の保護

・他の種類の組織の支持・取り巻き・結合

・予備のエネルギーを、特に脂肪の形で貯蔵

・微生物による侵襲から人体を防御

 

結合組織は以下の3種類に分類される。

①結合組織(狭義)

・疎性結合組織:線維網目で隙間がある

・密性結合組織:線維が密に詰まっている

    

②液性結合組織

・血液:血管系の中

・リンパ:リンパ管系の中

    

③支持性結合組織

・軟骨:固い弾力のある基質

・骨:固い結晶性の基質

骨組織

 骨芽細胞、骨細胞、破骨細胞の3種類の細胞と、骨基質からなる細胞で、骨基質には大量の無機物、特にカルシウム塩が多く含まれ、骨を丈夫に保っている。骨組織には細胞間質(骨基質)、膠原線維、骨細胞があり、細胞間質にはリン酸カルシウムが最も多く含まれており、炭酸カルシウムが少ない。また、骨組織には以下の2種類がある。

①緻密質:厚く充実した組織で、骨幹をなす。血管を含む。

②海綿質:薄い梁にほぐれた組織で、骨盤をなす。

筋組織

自分の意志によって動かすことのできる骨格筋と、意志に関わらず動く心筋と平滑筋に分けられ、体や内蔵の自動運動を営む。筋細胞と少量の細胞間質からなり、筋細胞は細長い繊維状をしているところから、筋繊維とも呼ばれます。一般の細胞とは異なり、筋細胞の細胞質は筋形質、細胞膜は筋細胞膜(筋鞘)という。

          

骨格筋細胞 →  横紋有り-随意筋

心筋細胞  →  横紋有り-不随意筋

平滑筋細胞 →  横紋無し-不随意筋

神経組織

神経組織は体のある部位から他の部位へ電気的興奮(インパルス)を伝える役目を担う。人体の神経組織の98%は神経系の司令部である脳と脊髄に集中している。神経組織には2つの基本的な細胞成分がある。神経細胞と神経膠(グリア)と総称される何種類かの支持細胞である。

副鼻腔

①前頭骨―前頭洞

②蝶形骨―蝶形骨洞

③篩骨―篩骨洞

④上顎骨―上顎骨洞

 

副鼻腔の働きは以下の3つがある。

①頭蓋骨を軽くする

②免疫を産生する。

③発声時に声を共鳴する。

泉門と縫合

主な泉門には以下のものがある。

①大泉門:前頭骨と頭頂骨の間。生後2歳頃に閉鎖。

②小泉門:後頭骨と頭頂骨の間。生後約2ヶ月で閉鎖。

③前側頭泉門

④後側頭泉門

頭蓋骨の骨の境界は縫合と呼ばれる不動関節で出来ている。縫合では、密性線維性結合組織によって互いに強く結合している。主な縫合は、ラムダ縫合、弓状縫合、冠状縫合、鱗状縫合である。

椎骨の種類と数

頚椎(7個):C1~C7→C1環椎、C2軸椎、C7隆椎

胸椎(12個):T1~T12

腰椎(5個):L1~L5

横隔膜

横隔膜は胸腔と腹腔とを隔てる人体最大の筋性の膜(随意筋)で、呼吸に関わる重要な筋(吸気筋群の一部)であり、支配神経は横隔神経である。横隔膜が収縮すると胸腔の体積が増加し、吸気が起こる。また、腹式呼吸とは、主に横隔膜の動きで行う呼吸であり、主に男性に多い。

 

反射と反射弓

反射とは、人体に与えられたある刺激(痛み・摩擦・光など)を感受し、それに対応して人体が示す一定の反応と定義されている。

 

反射では、①刺激が加わる→②その刺激を感受する→③刺激が求心性伝導路を伝わり各刺激の種類に応じた脳の中枢へ至る→④各刺激に応じた中枢から、遠心性伝導路を伝って目的の筋に運動命令(運動企画)が指令される→⑤指令の結果、筋の収縮(反射)が生じる、という一連の流れがみられる。この一連の流れを反射弓と呼ぶ。

 

反射の種類

深部反射

深部反射は、腱や骨膜を刺激することで筋が急激に進展する現象。また、この反射は健常者では一定の強さで反応がみられる。代表的なものは、膝蓋腱反射。深部反射は中枢性麻痺(上位運動ニューロン障害)では亢進する。反対に、末梢性麻痺(下位運動ニューロン障害)では減弱又は消失する。

表在性反射

表在性反射は、皮膚や粘膜に触覚刺激を加えると、筋が反射的に収縮を起こす現象。また、この反射は健常者にも普通にみられる。代表的なものは、角膜反射。これは、眼球を軽く触れると閉眼するというもの。表示性反射の減弱又は消失し、深部反射の亢進がある場合は錐体路障害が示唆される。

病的反射

病的反射は、錐体路が障害されて生じる反射とされ、錐体路性反射と呼ばれる。また、この反射は約10ヵ月までの乳児を除いて、健常者では見られない。代表的なものは、バビンスキー反射。

​自律神経反射

嚥下反射・咳嗽反射など生理的な反射の数多くが、この自律神経反射に分類される。代表的なものは、対光反射である。

対光反射とは、一側の目に光を当てると瞳孔が収縮するのと同時に、もう一側の瞳孔も収縮することをいう。健常者の場合は、両側ともに瞳孔の収縮が確認できる。

大脳皮質

大脳皮質は、中心溝やシルビウス裂などの溝により①前頭葉・②側頭葉・③頭頂葉・④後頭葉の4つに分けられる。

大脳皮質の構成は、外側から新皮質→旧皮質(古皮質)→間脳(視床系)となっている。

前頭葉:精神活動・運動・運動性言語(発話)

側頭葉:聴覚・聴理解・視覚性認知など

頭頂葉:体性感覚(痛み・痒み・温度など)・体性感覚や視覚や聴覚の統合

後頭葉:視覚

①前頭葉

大脳の中心溝より前の部分を前頭葉といい、「人間らしさ」の中枢であり、人が人であるために必要とされている。前頭葉は前頭連合野(前頭前野)・高次運動野・一次運動野の3つに分けられ、判断・思考・計画・創造・注意・抑制・意欲(発動性)などの高次脳機能や人格をつかさどっている。

前頭葉の障害で多く見られるのは、意欲の低下(発動性の低下)・注意障害・脱抑制・易怒性・遂行機能障害・人格変化・思考や判断力の低下・他人への興味の喪失、運動性失語(ブローカ失語)などである。

前頭葉機能検査には、WCST(ウィスコンシン・カード・ソーティング・テスト)やFAB(前頭葉機能検査)がある。

②側頭葉

大脳のシルビウス裂より下部を側頭葉といい、聴覚情報処理や言語(ウェルニッケ野)、高次の視覚などをつかさだっている。側頭葉の障害で多く見られるのは、皮質聾・幻聴・感覚性失語(ウェルニッケ失語)・環境音失認・感覚性失音楽・物体失認・相貌失認などである。

 

*皮質聾=音を音として認知できない。要は、音を無視する。患者によっては聾を否認し「聞こえる」と主張する⇒アントン症候群

 

環境音失認=聞こえている音が何の音であるか分からない。

 

感覚性失音楽=音として聞こえても、音楽として認知できない。

 

物体失認=見ている物体がなんであるか分からない。ただし、視覚以外の感覚(聴・触・嗅・味)を使えば認知が可能な場合もある。

 

相貌失認=家族や友人など親しい間柄であっても、顔を見ただけではその人が誰であるか分からない。

③頭頂葉

頭頂葉は、身体の各部位の体性感覚の入力(一次体性感覚野)や様々な情報を統合・認知する機能(頭頂連合野)をつかさどる。頭頂葉の障害で多く見られるのは、「半側空間無視・身体失認・失読失書・ゲルストマン症候群・観念失行・観念運動失行・肢節運動失行」などである。

*ゲルストマン症候群=左頭頂葉(角回)の障害により、手指失認・左右失認・失算・失書の4徴候を呈するもの。

 

④後頭葉

後頭葉は、視覚情報を処理している。後頭葉の障害で多く見られるのは、「物体失認・相貌失認・色彩失認」などである。視覚伝導路は、「網膜→視交叉→視神経→外側膝状体→視放線」である。

大脳の白質

大脳白質は、神経線維の集合体である。また、白質には交連繊維と連合繊維があり、交連繊維は左右の大脳半球を繋いでいる。連合繊維は同側の大脳半球内の各領域を繋いでいる。

 

交連・連合繊維

交連繊維:脳梁・前交連

連合繊維:帯状束・下縦束・弓状繊維(脳内側面を通る)上前頭後頭束・下前頭後頭束・上縦束

脳基底核

左右の大脳半球の深部に位置し、随意運動の調節などに関わる神経群(灰白質)を大脳基底核という。構成は、前障・尾状核・被殻・淡そう球であり、尾状核と被殻を線条体、被殻と淡そう球レンズ核と呼ぶ。

大脳基底核の障害と有名なものは、随意運動の抑制が強くなりすぎるパーキンソン病、抑制が低下しすぎるハンチントン舞踏病が上げられ、大脳基底核での運動調節にはドパミンが重要な役割を果たしている。

間脳

間脳は、大脳半球の中心部に位置する灰白質の塊。構成は、①視床上部・②視床・③視床下部。

①視床上部

松果体が存在し、概日リズムの調整をしている。

 

②視床

嗅覚以外の感覚情報の中継や運動調節機能の補助を行う。視床の病変では、対側の感覚障害や視床痛などが出現する。

 

③視床下部

自立神経系や内分泌系(下垂体)の中枢として機能している。また、種の保存に関する本能行動の中枢でもある。

 

*種の保存に関する本能行動=体温調整・体液や浸透圧の調整・睡眠・覚醒・摂食(水)・性行動などの生命活動の調整に中心的役割を果たす。

中脳

中脳は、脳幹の一部であり、動眼神経(Ⅲ)・滑車神経(Ⅳ)・三叉神経(Ⅴ)の神経核が存在する。

中脳の障害で生じる主な疾患はウェバー症候群(中脳腹側症候群)・ベネディクト症候群・パリノー症候群である。

ウェバー症候群(中脳腹側症候群)=患側の動眼神経麻痺、対側の片麻痺。

ベネディクト症候群=患側の動眼神経麻痺、対側の不随意運動・不完全麻痺

パリノー症候群=垂直注視麻痺(上方・下方を向けない)・調節や輻輳反射の消失

 

橋には、三叉神経(Ⅴ)・外転神経(Ⅵ)・顔面神経(Ⅶ)・内耳神経(Ⅷ)の神経核が存在する。また、呼吸調整中枢も存在する。橋の障害では、閉じ込め症候群(ロックドインシンドローム)が生じる。

 

閉じ込め症候群(ロックドインシンドローム)=全身の運動麻痺(重度)。可能な運動は眼球運動と開閉眼のみ。

小脳

小脳は、四肢・体幹の動きや調節、平衡・眼球運動の調節に関わる。大きく前葉と後葉に区分される。また、小脳の内部はプルキンエ細胞が存在している。小脳の障害では、四肢の動き・発話運動・体幹や姿勢の調整・歩行などが失調する。

延髄

延髄は、脳と脊髄を繋いでいて、舌咽神経(Ⅸ)・迷走神経(Ⅹ)・副神経(Ⅺ)舌下神経(Ⅻ)の神経核が存在する。

呼吸・嚥下・嘔吐・循環(心臓)の中枢が存在し、生命維持において重要な役割を果たしている。

 

延髄の障害では、ワレンベルグ症候群(延髄外側症候群)が上げられ、球麻痺症状が出現する。

大脳辺縁系

大脳辺縁系は、情動・本能・記憶に関わる旧皮質(古皮質)に存在するものである。構成は、帯状回・海馬傍回・脳弓・乳頭体・扁桃体・海馬である。

 

海馬→脳弓→乳頭体→視床前核→帯状回→海馬傍回→海馬を結ぶ連絡路をパペッツの回路といい、主に記憶に関わる回路とされている。

扁桃体

扁桃体は、情動や喜怒哀楽をつかさどっている。また、外界の刺激の快・不快の判断もおこなっている。

海馬

海馬は、記憶の形成において重要であり、大脳新皮質に送る情報を取捨選択している。その中で、海馬に選ばれて大脳新皮質に送られた情報が長期記憶として定着する。つまり、海馬が障害されると新たに長期記憶を作ることが困難となる。

感覚受容器

感覚受容器は特殊な細胞あるいは突起からできており、体内の状態や体外環境の情報を入力している。刺激を受けると活動電位が生じ、中枢神経に伝達される。一般感覚(温度覚、痛覚、触覚、圧覚、振動覚、深部感覚)の受容器は体のどこにでもあり体性感覚野(一次感覚野)に伝えられる。特殊感覚(嗅覚、味覚、平衡覚、聴覚、視覚)は眼や耳など各々の感覚の中にあり、特定の大脳皮質と脳幹に情報が伝わる。

味覚

味覚は舌に点在する味蕾という細胞によって感知される。味蕾の中の味細胞にある受容体が口腔内に入ってきた様々な化学物質と反応し、味覚情報は顔面神経、舌咽神経、迷走神経によって脳幹に伝えられる。味覚は5種類の基本味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)の組み合わせで生じる。

自律神経

末梢神経系・中枢神経系を通して、心筋・平滑筋の運動や腺の分泌を制御する内蔵運動性の伝導路群を自律神経系と呼ぶ。臓器の多くは交感神経と副交感神経の双方が分布しており(二重支配)、その作用はプラス・マイナスと相反している(拮抗作用)。しかし、大部分の血管や汗腺、立毛筋などは交感神経のみの支配を受けている。

交感神経

交感神経系は脊髄の第1胸髄(T1)から第2腰髄(L2)から出ている(胸腰系)。緊張・興奮時に優位に働き、運動に適した状態にする。標的臓器に対して主にノルアドレナリンを放出する。

副交感神経

副交感神経は第Ⅲ、第Ⅶ、第Ⅸ、第Ⅹ脳神経と第2~4仙髄(S2~S4)から出ている。平常時・リラックス時に優位にはたらき、次の活動時に備えさせる。標的臓器に対して主にアセチルコリンを放出する。

膵臓

膵臓は胃の後方に位置し、大部分が外分泌腺で構成されている。この外分泌腺からは膵液が分泌される。膵臓の中にはランゲルハンス島(膵島)と呼ばれる内分泌細胞の集まりが点在し、A細胞からはグルカゴン、B細胞からはインスリン、D細胞からはソマトスタチンが放出される。

肝臓

肝臓は右の上腹部にある重さ約1㎏強の人体最大の臓器である。右葉と左葉とに分かれさらに8つの区域に細かく分けられる。肝臓の上面は横隔膜に接し、底面は胃、結腸、腎臓などの臓器に接している。肝臓の大部分を占める肝細胞は肝小葉と呼ばれる構造を作って集合し、肝小葉がたくさん集まり肝臓が構成されている。肝臓の後端中央には下大静脈がはまりこんでおり、3本の肝静脈が下大静脈に直接注いでいる。また、下面の前方には胆嚢、下面中央はややくぼんだ肝門になっており、固有肝動脈、門脈、総胆管が肝臓に出入りする。

胃は横隔膜の下に位置し、上部は食道に接続し(噴門)、下部左端で十二指腸に接続する(幽門)。噴門に近い上部を胃底、幽門に近い部分を幽門部、残りの大部分を胃底と呼ぶ。胃底と胃体にある腺は胃底腺と呼ばれ、主細胞はペプシノーゲン、旁細胞と壁細胞は塩酸、副細胞は粘液を分泌する。胃の壁は平滑筋が発達し食物と胃液の攪拌に役立つ。特に幽門括約筋は十二指腸に移動するのを制御し胃液と食物が十分に混ざり消化されるのを助ける。

小腸-大腸

小腸は長さ6m以上で、十二指腸、空腸、回腸に分けられる。粘膜面にある輪状ヒダ・絨毛・微絨毛により小腸の表面積が広がり効率よく栄養が吸収される。吸収された糖質やたんぱく質は粘膜内の血管によって、脂質はリンパ管によって吸収される。小腸では輪状筋、縦走筋が管壁をすき間なく被っている。

 

大腸は盲腸、結腸、直腸に分けられる。小腸から送られてきた食物の残りかすから水分を吸収し、糞便にして肛門から排泄する。大腸の粘膜上皮は小腸に比べ粘液分泌細胞が多い。また結腸ヒダが存在する。結腸は上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸となり腹部をほぼ1周する。また、縦走筋が3本にまとまって結腸ヒモと呼ばれる束を作り腸管に沿い走行している。回腸口から下の大腸の始まりの部分が盲腸で、盲腸からは虫垂がついている。肛門には輪状平滑筋である内肛門括約筋その周りに肛門括約筋があり排便時の筋の弛緩の調整が行われる。

ネフロン

腎臓において尿を生成する単位をネフロンと言う。ネフロンは腎小体と尿細管からなる。腎小体は血管から尿を濾過する糸球体と、糸球体で濾過された原尿を受け止めるボウマン嚢とでできている。ボウマン嚢から原尿を導いて尿の成分を調節するのが尿細管である。尿細管は近位・中位・遠位尿細管に分けられ、近位尿細管の最後の部分から遠位尿細管の始めの部分のヘアピン状のカーブをヘンレのループと呼ぶ。

心臓

心臓は胸腔中央部の前より位置していて、ほぼその人のこぶし大の器官である。4つの部屋(右心房、右心室、左心房、左心室)に分かれている。右心房には全身からの血液を戻す上大静脈と下大静脈が、右心室には肺に向かう肺動脈が接続している。左心房には肺からの肺静脈が、左心室には全身に向かう大動脈が接続している。右心房と右心室の間には三尖弁、左心房と左心室の間には僧帽弁、右心室と肺動脈の間は肺動脈弁、左心室と大動脈の間には大動脈弁が存在し血液の逆流を防いでいる。心筋は冠状動脈により酸素と栄養を得ている。

体循環と肺循環

心臓から出て行く血管を動脈、心臓に戻る血管を静脈という。そして、酸素を多く含む血液を動脈血、二酸化炭素を多く含む血液を静脈血と言う。肺循環では心臓から静脈血を肺に導き、肺で二酸化炭素を排出し酸素を取り込み、その動脈血を心臓に戻す。体循環では心臓から肺以外の全身の器官に動脈血を導き再び心臓に静脈血を戻す。

【参考文献】

著: F.H. マティーニ, M.J. ティモンズカラー人体解剖学: 構造と機能:ミクロからマクロまで

著: 堺章「目でみるからだのメカニズム 新訂」

監: 廣瀬肇「言語聴覚士テキスト 第2版」,2012年

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