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​精神医学・疾患別

統合失調症

以前は精神分裂病と呼ばれていた。生涯持続する慢性精神病。

有病率:0.7~1%

発症年齢:青年期の発症(思春期から30歳までの発症が全体の8割)

病因:遺伝要因、体型・病前性格要因・脳の形態的要因、精神生理学的要因、神経化学的要因、心理学的要因、発達要因、社会的要因、非疾患説など多岐にわたる。

 

病型:破瓜型、緊張型、妄想型の3型に分類。

・破瓜型:20歳前後に発病し、最大の特徴は自閉傾向。徐々に陰性症状が目立ち、人格水準が落ちて荒廃していく。3型の中で最も重度。

・緊張型:20歳前後に発病。主要症状は精神運動障害(緊張病性昏迷・興奮)である。

・妄想型:30歳前後に発病。妄想が目立ち、人格の崩れが少ない。

 

統合失調症陽性症状

思考の障害「幻覚・妄想」

①幻覚

体感幻覚、幻聴(幻声)が多い。幻聴による独語(ぶつぶつ独り言をいう)や空笑(突然笑い出す)。

 

②妄想

被害妄想、関係妄想、誇大妄想、血統妄想、宗教妄想、恋愛妄想、心気妄想がある。

理解不能な一次妄想(妄想気分・妄想着想・妄想知覚)が多い。

 

思路の障害:連合弛緩→支離滅裂→言葉のサラダ・言語新作の順に重篤、思考の途絶

自我の障害:離人症状、させられ体験(思考吹入・思考化声・思考奪取・思考伝播・思考干渉・思考察知)

緊張病症状:興奮、昏迷、緘黙、拒絶症、常同症、カタプレシー(蝋屈症)、反響症状、衒奇症、奇矯、表情の障害(しかめ顔、ひそめ眉、とがり口)

 

統合失調症陰性症状

意欲の低下、意欲の欠如、感情鈍麻(情意鈍麻)、感情の平板化、自閉

躁鬱病(双極性障害)

初発年齢:20歳代が最も多い(うつ病よりも好発年齢が低い)

有病率:0.5% 男女差はない

躁状態のみの人いずれはうつ状態が出現する。

治療:薬物治療(気分安定薬)、精神療法

 

躁鬱病の症状

気分・感情の障害:気分の高揚、爽快気分、楽天的、自己評価が高い、易刺激性(些細なことに激怒、感情の起伏が激しい、攻撃的)

意欲の障害:行為心迫(多弁、多動など)、精神運動興奮

思考の障害:観念奔逸、誇大妄想

身体症状:睡眠障害(不眠であっても苦でない)、食欲・性欲亢進

その他:病識欠如、著しい迷惑行為をなす

神経症

不安、抑うつ、心気、離人などの主観的な症状を慢性的に訴える状態であり、生活・職業・社会における種々の不適応を惹起する。

好発年齢:思春期~青年期

治療:薬物療法(抗うつ薬・抗不安薬)、認知行動療法がある。

病態:恐怖症、全般性不安障害、パニック障害、強迫性障害、解離性(転換性)障害、身体表現性障害、離人神経症、神経衰弱症など。

 

①恐怖症

閉所、広場、高所、不潔、先端、動物、疾病など様々な対象に異常な恐怖・嫌悪を示す。恐怖とは特定の対象に対する場合を指す。

 

②全般性不安障害

漠然とした不安が全般的かつ持続的である。不安とは対象をもたない漠然としたもの。

 

③パニック障害

過呼吸、動悸、頻脈、下痢など身体の生理的変化がみられ、死の恐怖を伴う。パニック発作は長時間続かず、特定の場所で生じるタイプと場所を問わないタイプとに分けられる。

 

④強迫性障害

強迫観念、強迫行為を生じる。発症は小児期か成人早期。男女同頻度。経過は、難治性で慢性化することが多い。

身体表現性障害

疼痛症状、胃腸症状、性的症状あるいは非神経学的症状など様々な身体症状を示す。女性に多く、発症のピークは成人初期である。疼痛性障害、身体醜形障害、心気症なども含まれる。

解離性障害

DSM-Ⅳでは2つに分類されている。

①解決困難な心の葛藤を無意識に抑圧したために人格の統合が失われ意識障害、同一性障害などの精神症状が出現する。

②運動、感覚の障害などの身体症状に転換されて出現する身体表現性障害の中の転換性障害のこと。

※ICD-10では区別されていない。

アルコール依存

アルコール精神障害は急性中毒、慢性中毒に分けられていたが、慢性中毒については近年自己統制力の喪失という観点からアルコール依存と呼ぶようになった。診断基準は「アルコールの使用が、以前にはより大きな価値を持っていた他の行動により、はるかに優先するようになる一群の生理的・行動的・認知的現象・依存症候群の中心はアルコールを使用したいという欲望である」

薬物依存

依存性の薬物には麻薬及び向精神薬取締法やあへん法の対象となる麻薬類(モルヒネ、コカイン、ヘロイン、LSDなど)、大麻取締法の対象となる大麻類(マリワナ、ハッシシ)、覚醒剤取締法の対象となる覚醒剤(アンフェタミン、メタンフェタミンなど)、毒物及び劇物取締法の対象となる有機溶媒(シンナーの主成分であるトルエンなど)、睡眠薬(バルビタール、ベンゾジアゼピン系など)や精神安定剤が挙げられる。

うつ病

疲労感や倦怠感、集中力や注意力の減退、悲観傾向、自己評価と自信の低下、食欲や性欲の不振、自殺念慮などの症状が見られる

①気分障害

②思考障害

③意欲・行為障害

④身体症状

うつ病患者は自己評価が低下しており「他の人に迷惑をかけている」と自分を責める傾向がある

微小妄想→自分自身の能力や評価を必要以上に過小評価する

罪業妄想→自分自身の事を罰に値する非常に罪深い存在だと捉える。自分の過去に許されない過ちがあったと思い込む

コルサコフ症候群

記銘力障害や健忘、見当識障害、作話などを特徴とする

せん妄

軽度ないし中等度の意識混濁に幻覚、妄想や夢体験が加わって恐怖や不安とまとまりの欠いた不穏な多動を呈する状態である。症状は短期間のうちに出現し1日のうちで変動する傾向がある。せん妄状態では時間と場所の見当識が混乱している

転換性障害

失立、失歩、失声、痙攣発作、知覚鈍麻、視野狭窄、疼痛

身体症状に表現されるもの→転換型

意識・人格の統合が失われるもの→解離型

作話

当惑作話、空想作話

病巣→前脳基底部、前頭葉眼窩面

 

神経性無食欲症

摂食障害の一種。患者は体型の感じ方および重要性が歪んでいる。体重減少が深刻になると抑うつ気分、社会的ひきこもり、苛立ち、性的関心の減衰などの抑うつ症状が見られる

​境界型人格障害

他人への感情や自分への評価が不安定で感情・思考の制御障害などを示す。思春期または成人期に生じる人格障害である

「衝動行動、リストカット、過量服薬、異性関係のトラブル」

離人症

自己の存在や周囲の世界に対する現実感の消失が主症状である。現実吟味能力は保たれているが、単独あるいはうつ病や統合失調症などに付随して現れる

自己愛性人格障害

賞賛されたいという欲求が強い。特権意識を持っている。他者を不当に利用する。自分が特別な存在であると信じている

回避性パーソナリティ障害

社会的制止、不信感、否定的評価に対する過敏性といった特徴をもつ。極端に自分に自信がなく傷つくことを恐れるあまり人との交流を避ける傾向が強い

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